トヨタの撤退、日本の撤退、そしてその後。

トヨタ、F1撤退を今日(11月4日)発表へ : F1通信
今日トヨタ自動車は、今年限りでF1から退くことを発表した。日本を代表し世界的にも認められているトヨタ自動車。2002年から参戦したチームは一度も優勝することなくモータースポーツのトップカテゴリーから離れることとなった。今年はHONDAの撤退に続き、ブリヂストンも2010年を持ってタイヤ供給を打ち切り、トヨタも退いたことでF1から日本企業が一斉に身を引いた。
モータースポーツの抱える障害、ひとつは環境への取り組み。昨今に至っては環境問題に対する認知が広まり、モータースポーツが共存するには今のままでは難しいことは周知の事実だ。そうは言っても私達人間が築きあげてきた産業・技術は何ら後悔すべきものではなく、素晴らしいものであると私は確信している。だからこそ、その蓄積がハイブリッドカーやEVといった形で活かされていくことは、進むべき道のように思う。環境に配慮し、モータースポーツが共存していけると信じたい。
そしてもうひとつは、こちらのほうが厄介に思うが、世界的に広がる不況という障害。それを受けてFIAは予算制限を設けるなど、資金が豊富なチームとそうでないチームの競争を目指している。これについては費やされる予算が年々膨れ上がるF1界にとって、遅かれ早かれ対策すべきことではあったと思う。しかし金融業界を発端としたこの世界規模の流れは止まることはあるのだろうか?モノの値段が安くなって喜ばしいと思う事もあろうが、少しばかり度が過ぎやしないか?それは本当に多くの人が求める状況か?何か悪循環に陥っている気分になる。世界的に広まった不況とやらを、事実として受け止めるよりも恨めしくすら思う。
ドライバーに視線を移すと、小林可夢偉は最終戦でデビュー2戦目とは思えない6位入賞を果たし、パドックに衝撃を与えただけに落胆の思いだ。この成果で、トヨタが参戦していれば来季正ドライバーの座は確実と見られていた。まだ若い彼をこのまま実家の寿司屋に戻してしまう*1のだろうか。それは日本のF1の未来にとって大きなマイナスだ。
ちなみにトヨタは率いてきたF1チームを売却する予定はないという。するとこれにチャンスを得るのは旧BMWザウバーチームではないか?BMWも同じく今年一杯で撤退を表明しチームを売りに出したが、買い手は付いているようで(クァドバク・コンソーシアム)あとは参戦できるチーム数の空き待ち状態(現在は13チームに参戦権が与えられる)となっていた。上手く進めばザウバー・クァドバクがトヨタが退いて空いた枠に収まるかもしれない。
クァドバクは中東関連の組織のようだ。今年はアブダビGPが初開催され、そのために建設されたヤス・マリーナ・サーキットはその豪華さで人々を魅了した。といった具合に、この不況の最中でも中東の経済は元気だ。オーストラリアなども景気が上浮いてきているようだから、やはり資源国は不況に強いと実感する。
といっても我は日本人、日本企業・日本人の健闘を願う。一寸先の闇はまだまだ色濃いが、だからこそ見通したい。